向こう。

「そんな顔するんだな。ますます好きになった。
襲いたくなる。」

「なっ……んっ」

睨もうと顔を上げると、額に軽いキスを落とされた。
舞瀬はさっと立ち上がり、空き地から出る直前に振り向いた。

「じゃあな。
放課後、一緒に帰るから勝手に帰んなよ。
いいな。」

それだけ言うと、舞瀬は空き地からさっさと出て行ってしまった。

「な、何なんだ…」

もう、何も考えたくない。

俺は授業開始のチャイムを無視して、再び寝転んだ。
眠ろうとは思うのだが、目を綴じるとあのキスの感触が蘇ってしまい、少しも眠ることが出来なかったのだった…