向こう。

「はーっ、気持ち良いねぇ!」

大きく深呼吸をして、伸びをしたのは坂野。

「あそこら辺に座らん?」

屋上の端を指しているのは中森。
俺達四人は屋上にいた。屋上は意外なことに、人が全くいなかった。
柔らかい太陽の光と、ゆっくりと吹く春風が肌を滑って行く。

「凪ー?早く座れよ!」

舞瀬に呼ばれてはっとなる。
気持ち良かったせいで、ついぼーっとしてしまった。
俺は慌てて駆け寄った。

「じゃあ、食べよっか!」

坂野がいただきまーす、と言って昼食の弁当を開く。
俺も弁当を開けると三人が同時に叫んだ。

「少なっ!!」