向こう。

舞瀬は俺の声を聞くより早く、俺を抱きしめていた男子達を引きはがした。
そして俺の腕を掴んで自分の所に引き寄せ、拘束を解いた。

「わっ…!」

その勢いで舞瀬に抱き着いてしまった。
舞瀬はそのまま俺の肩を抱いた。

「凪、大丈夫か?」

心配そうに顔を覗き込まれ、俺は舞瀬を見上げた。
すると何故か一気に全身の力が抜けた。
そして舞瀬の胸にもたれ掛かった。

「ん、大丈夫……」

舞瀬は優しく俺の頭を撫でた。

「嫌なら嫌ってちゃんと言いな。
次は俺がいないかもしれないんだから。」

「……ごめん…」

俺が俯くと、上から微かに笑い声が聞こえた。

「分かれば良いよ。
怖い思いさせてごめんな。」

舞瀬は俺を強く抱きしめた。
それがなんだか心地良くて、俺は口元を綻ばせた。