向こう。

「やべー!
春高、可愛過ぎ!!」

「超萌える!」

そんな声が頭上から飛んで来る。
すると一人の男子が俺の顎を掬い、自分の方へ向けさせられた。

「色気ありすぎだろ。
な、俺と付き合わない?」

舐めるような視線に背筋が凍る。

「ちょ、やめ…っ」

半分拘束状態では俺の小さい抵抗なんか効くわけがない。
困り果て、ふっと視線を逸らした先には、舞瀬がいた。

「舞…瀬っ…助け…っ!」