向こう。

一瞬、思考が止まった。
しかしすぐにはっとなり、羞恥が込み上げてくる。

「なっ…う、うるさい、早く行くぞっ!」

俺は肩を抱いていた舞瀬の腕を払いのけ、歩き出した。
舞瀬はくすくすと笑いながら、俺の隣に並び歩き出した。

飄々としている舞瀬とは対称に、俺は熱くなっている顔を冷まそうと必死になっていた。