向こう。

次の日、学校へ行こうと家を出ると、門の所に舞瀬が立っていた。

「うわっ!」

まさかいるとは思っていなくて、俺は必要以上に驚いてしまった。

「おはよー。
そんなに驚かなくてもいいのに。」

「あ…ごめん……」

昨日のことは怒っていないのだろうか?
不安になって舞瀬の顔を覗き込んでみたが、その表情はいつもと全く変わらないように見えた。
俺はほっとして口元を緩めた。

「…っどうした?
急に笑ったりなんかして。」

「いや、なんでも。」

俺が視線を逸らして言うと、舞瀬は少し不満足そうにし、またすぐ表情を戻した。
そして俺の肩を軽く抱いて、耳元で囁いた。

「そうか?
ま、そっちの方が…可愛い。」