私は先生のお嫁さん

…南、急にそっぽ向いちゃった。
だけど、手をギュッて握ってくれている。
私は嬉しくてもう一度、チラっと南に繋がれた自分の右手に目を向けた。

その時だった……。


「白崎先生~♪
キャー、偶然~!どうしたんですかぁ?

あら…その生徒は…?

早退するなら私が保護者の方が来るまで見てますよ!」

先生……?

廊下は走っちゃいけないんじゃないですか…?

目の前にポスター、貼ってありますよ。

目の前から女の先生が走ってきた。

この人は確か…入学式でベッタリくっついていた女の先生だ。



「いや、結構です。
俺の親戚なんですよ、こいつ。それに俺も少し調子がすぐれないので…。一緒に帰るからいいです。」

ズキン……そうだ…。今はここは学校。学校だから私は南の生徒、親戚……。


私は…やっぱり負けてる。あんなに綺麗な人に勝てないもん。

そう、落ち込んだ時だった。

南は一瞬だけ、たった一瞬だったけど握っている手に力を入れた。

まるで、私の心が読めていて、その手が私に大丈夫、大丈夫って言っているかのように思えた。