私は先生のお嫁さん

「ほら、来いよ。」

そう言って私の荷物を、手に持って保健室のドアの前で待っている。

もちろん、左手を差し出しながら……。

行きたい…。南の左手を握って。

南の隣を学校内を歩きたい。そして、みんなに

『南は私の!』って

言いたい…!

………言いたい。だけど……そんなこと、できるはずが無い。私と南は仮にも教師と生徒である。

それでもし、私たちの関係がバレたりしたらそれのが困るもん。

「南は、だめだよ…。


先生…なんだよ?

やっぱり…さ、教師は…生徒みんなのだから……。」

そう言うと、南は意味がわからないとでも言いたそうな顔をしてきた。

「何言ってんだよ。

俺はさ、教師である前に千里の夫だ。

普通、大事な妻が倒れたのにほっとけるわけないだろう?

自分の奥さんより仕事をとる男は、ろくなやつじゃない。

多分、疲れが出たんだ。頼むから、今日だけでも、ゆっくり休め。また倒れたら困る。

俺はずっとお前の傍にいてやるから。」