でもその幸せな時間は…すぐに去って行った。

「ねぇせんせぇ~
勉強わかんなぁい…。

先生、なんでもだいたい教えられるんだって?

教えて………?」

一人の女の子がこちらにゆっくり、だけど素早くやってきた。

細くて綺麗でスタイルも抜群。まわりの子たちとはなにか違うオーラを発してる感じ。

まるで女優さんみたい。


南が…一瞬驚きの表情を見せたのを私は…見逃さなった。

…が、すぐに“先生”って顔に戻った……。

「え…あ、あぁ。」

「じゃあ、昼休みと放課後。時間、ありますよね?職員室に行きます。」

そう言うとまた向こうへ去って行った。

私を横目で見ながら鼻で笑いながら…。

「悪い…用が入っちまったからまた今度にするよ。」

南は申し訳なさそうに言ってきた。

もちろん…驚いたけど仕方ないよ。

“ここ”では南は、皆の先生なんだもん。今は、私だけの旦那様の南とは…別人だから。

仕方ないよ………。

グッ

手に力が入るのがわかった。

「……はい。
わかりました(笑)」