「チッ…男いたのかよ。」

「行こうぜ……ッ!」
南くんのおかげで、そう言って二人は夜の闇へと消えて行った。

「ったく…。危ねぇな。
…大丈夫だったか?」

…南くんは、怒ってる様な顔をしている。

「うん…。
ありが、とう…大丈夫。」

だけど、そう言うと南くんの顔が一瞬、本当に一瞬だけ笑ってくれた。

でもまた、さっきの顔に戻ってしまった。


「…ッたく馬鹿だな。
こんな暗くなるまで学校にいて。

しかも、こんな短いスカートなんかはいちまって……!

こんな格好で、こんな遅くまで外にいればあぁいう野郎が寄ってくるに決まってるだろう!

た、たまたま…俺が、

通りかからなかったらお前、アイツらに大切なもん奪われてたぞ…!」

「うん……ごめん、
助けてくれて…ありがとう。」


久しぶりに、南くんが
たくさん話しをしてくれた。

まぁ……お説教だけど。

でも、それでも無性に嬉しくなった。


「ほら、行くぞ。」

「え…?どこに?」

「ハァー…。

千里、お前家に帰るんだろう?

一人だとまた変な奴らに声かけられるかもしれないから家まで送ってやるんだよ。」

そう言って、

昔みたいな優しい笑みを向けてきた…。

口調は…ちょっと違うけど。