私は先生のお嫁さん

声がする方を振り向いたら、南君が微笑みながら右手を差し出して待っていた。


「ほら、手貸せよ。

ついでにそのかばんも。」

そう言いながら、私の手からかばんを奪い、それと同時に私の左手を握ってきた。

南くんと、手を繋ぐなんて何年ぶりかな。

もうずっと、手なんか繋いでなかったし。

なんかまるで…

小さい時に戻ったみたい。

あの時から変わらない私より大きくて、ひんやりとした手。


でも、あの時とは違う。

男の人らしくて少しゴツゴツしている手。


なのに……どこかしなやかで、すごく綺麗な指の長い手……。


「荷物まで持ってもらったら悪いよ…。」

私の荷物なのに…。
まぁ、これといってたくさんかばんには入ってないんだけど。

「馬鹿だな。いいんだよ。」

ば、馬鹿……!?


「かわりに右手には一番大切で大事な最高なもんを掴んでるから。」

そう言って、
南くんの握る手の力がギュウって入って、

私を優しい眼差しで見つめている。