「…南ッ!」

「………。」

「おい、黙ってんじゃねえよ!
俺は、千里を泣かせる奴は誰と関係なく許せねぇんだよ!」

そう言うと勢いよく篤哉の襟に向かって行った南。
服…伸びちゃうよ!

そんな南に全然動じない篤哉…。
なんか、いつもと目つきが違う……。

もしかして…、怒ってるのかな?

私はさっきは南を見た瞬間再び溢れてきた涙はピタリと止まりだんだん心配になってきた。

「ちょっと南…」

「…おい、俺がいつ、コイツを泣かせたって?」

今まで聞いたこと無いくらい低い声で言いながら南を睨みつけながら言葉を続ける篤哉。

「…言っとくけど、コイツ泣かせたのはお前だよ!

何勘違いしてんだよ…!
本当に千里が好きならもっとコイツのこと見てろよ!


気づくだろ…!
千里がどれだけお前が好きなのか。」


また…篤哉の辛そうな顔。
南はなんか、驚いて目を見開いている。そりゃ、そうだよね…。

こんな篤哉、いつもの彼からは想像つかないもん。

「…俺が、千里を泣かせてたのか…?」

そう言うとやっと南は篤哉の襟を離した。

「俺は、千里が好きだからいつも見てた。

でも、コイツの瞳に写るのも心をいっぱいにしてんのもあんたなんだよ。先生。

俺じゃなくて、…な。


さて。俺はこの辺で失礼します。お互い話をした方がいいよ。
あと、この事は黙ってるから。千里を泣かせたくないしな。」