「そ、そんなたいしたことなねぇよ。

ほら、さっさと食え。」

「うん(笑)」

急に恥ずかしくなり、俺は口元を隠してそっぽを向いた。

俺ってもしかしたら千里以上に単純なのかもしれないな。

だって、さっきまで憂鬱だったのに、

千里の表情を1つ1つ見てると

自然に頬が上がり、
気持ちが晴れる。

「南?」

ちょこんと、
首を傾げながらこちらをみてくる

可愛い俺のお嫁さん。

「ん~?」

あえて俺は、千里の方を見ないで本に視線を落とし、返事をした。

「……こっち、見て。」

「ちょっと待って……。



なに?」

俺は本を閉じて本棚に戻すと視線をもう一度千里へと向けた。

すると急に赤くなる千里。

「なんだよ、千里。」

「や…あ、あの…ね、南の近くにいたかったから……。」

「ん?もう近くにいるじゃん。」

俺は嬉しい気持ちを抑えつつ、千里に意地悪を言ってみた。