チラッと見ると南と目が合った。

もちろん…小心者な私はバッとすぐに下を向いちゃったけど……。

「…では、教科書開いて。」

南の授業は他のどの先生の授業より、わかりやすい。
英語の発音は最高だし…。

だけど…授業中なのに女子は黒板を…ではなく先生を見つめるのに夢中みたい…。


やっと授業終わった、けど……


ハァー…………。
一体…なんなの!?
新手のイジメかなぁ…?

授業中…何かというと何をするにも私をご指名。
そのためまわりの女の子からの突き刺さるような視線まで独り占め…。

そして、今も………


「この、授業プリントは千里、おれのところへ持って来い。」

とか言って私はプリントを届けることに…。

まわりにバレたらどうするつもりなのかな……。
まったく……。

「千里ー!」

名前を呼ばれ振り向くと後ろには…

「…篤哉。」

篤哉が息を切らして立っていた。

「どうしたの……?」

「お、俺…も、一緒に……いく。貸せ。
俺が…持つから。」

凄い肩で息をしてるけど大丈夫かな?


「いいよ、悪いし…。」

「いや、俺がしたいんだ。千里のために。」

真っすぐな視線を向けている篤哉。
急にどうしたのかな。
でも、ありがたいし…