「…なんでお前を傷つける必要がある?」




「……だって私は、人質だから。
人質って、殺人者から傷つけられるものじゃないの?

ほら……
例えばナイフとかでっ…ぎゃっ!」



言いかけた私の目の前に小さい果物用のナイフを突き付ける日向くん。



「………お前、刑事ドラマの観すぎ」



日向くんはびっくりして腰が抜けている私を冷たく睨みつけ、そう言った。