「はい。貸してあげる」


リサはきょとんとした顔で
私の顔と携帯を
交互に見た。


「え、でも…」


「いいよ。海里サンの番号覚えてるんでしょ?」


そう言って携帯を握らせると、リサは嬉しそうに笑った。


「ありがとうっ!恵麻っ!!大好き〜」


「ハイハイ、いいから早くかけなよ」


抱きついて来たリサの背中をポンポンと叩いて、
リサに電話を促した。


今日の隅で電話をかけるリサを背中で隠すようにして、私は辺りを見渡した。


そう。
うちの学校は、イマドキありえない
携帯禁止。


没収されて、保護者呼出し。

解約した書類を提出するまで自宅謹慎。
なんていうオマケ付き。


でも、みーんな持ってるし、
ほとんどの先生が見て見ぬふりをしてくれるけど
やっぱり気は抜けない。