週があけ、月末を迎えた。

月末は残業が多いので、
いつも憂鬱な気分になる。
 
それなのに、
この時のわたしは
遅い電車に乗れるのを
少しだけ楽しみに思っていた。

響勇人の詩集を読んでいた彼と
再会できるかもしれない。

そんな夢のような
淡い期待を抱いていたからだ。 
 
しかし現実は現実でしかなかった。

帰りの電車に乗る度、
あの青年らしき人影を探した。

月曜、火曜と
何も起こらない単調な数日が繰り返された。
 

ついに金曜日を迎えた。

来週はいつものダイヤに戻る。

ため息混じりに電車に乗り込んだ。

何も起きないことを
確認するように車内を見回した。
 
すると、
目の前の席に腰掛け
響優人の詩集を読む青年がいる。

間違いない。先週の彼だ。