あの事件から1ヶ月過ぎようとしていたある日

朝から非通知の電話がなった

「はい」

「おー伊藤真奈美さん?」

この声は…

「はよ お金振り込んでやー振り込まんかったらネットでばらまくさかい」

!!

忘れようとしていた事が脳裏に甦る

手が…体が震える

「おい!きいとるんか コラ!」

「あっああっ」
声にならない…

「今度の月曜日までに振り込まれていなかったらまずお前のところ本籍に送るし」

「やめてください」

親には知られたくない

「だったらさっさと出すもん出せや!わかったな!」

電話が切れた

体が震えている

直哉さんからもらった猫の待ちうけを見て心を落ち着かす

どうしよう

あんな写真家に送られたら…

とにかくお金を払うしか今は方法がない

送られていないか確認するために月曜日からしばらく家に帰らなきゃ

ぐるぐる頭の中にいろんなことが駆け巡る

とにかく
とにかく
そうしないと

バイトに電話をかける

柴崎さんが出た

「どうしたの伊藤さん」

「おじいちゃんが倒れちゃって1週間ほど実家帰ってきます ごめんなさい 個人フォルダーの方はちゃんと返信しますから」

「それは大変だね こっちの事は気にしないで」

罪悪感を感じながら

「すみません」

といってあわてて家に帰る用意をした