「心配してるよ、先生」
「優香さんのこともな」
「…」
「ムカツクよ」
「え?」
その言葉にあたしは健くんの顔を見上げる。
「優香さんにあんな顔をさせてる親父のこと…」
「…」
「昨日、優香さん泣きながら俺に話してくれたんだよ。覚えてないかもしれないけど」
全然 覚えてない。
「それ聞いてたら親父に対して怒りがこみ上げてきた。それと同時に…、優香さんを」
「…」
「俺のほうが優香さんを大事にできるってー」
健くんのかすれた声と、真面目な瞳。
今までは冗談であたしに言ってくれた言葉。
だけど今の健くんは、本気ー。

