私は、教室にはいられなくて席を立ち上がって廊下に出た。

すると、夏輝がいた。


彼のことを、夏輝なら知っているんじゃないかな?

そんな気持ちを胸に、夏輝に話しかけた。


「ねぇ...夏輝ぃ?」


私は、夏輝の袖を掴むかのように見上げた。


「あ、菜乃香。何?」

さらっとした夏輝の髪が揺れた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだ。いいかな?」

「うん」


夏輝はニコッと笑って、私のほうに来た。



「あ、あのさ。あの窓際に座っている子って...」

私は彼の方を見ながらいった。

「んーっと、康くんのこと?」

「...康っていうの?」

私の発言に少し驚いた夏輝は、

「えっ?! 同じクラスなのに知らなかったの?」

「え…。あ、うん」

あはは…と微笑をした。


「じゃ、ありがとっ」

「んっ。じゃね!」


私は用を済まして、また席に戻った。