「わ~なんか人いっぱいだねぇ・・」


お昼近くの時間だったし、駅前だから人が沢山いた。

唯一後ろの席が空いていたので、私たちはそこに座った。


そのとき、遅れて入ってきた理子は立ち止まった。


「あれ! 私のイスは?」

きつくつめられたイスは、よく見れば1つ足りなかった。


「まぁドンマイだよ!」


私はそういって笑ってみせた。


夏輝は笑って、理子に向かっていった。


「ウチのお膝の上に乗ります~?」


「は~!?」


理子は、ふざけてんの? みたいな顔をしていった。


「まぁ落ち着こうよ」


割り込んだ君は、とばっちりを受けた。


「うるさい!」

夏輝が強い口調でいった。

そのとき、夏輝は立ち上がってしまった。


周りの人はそんなに気にしていなかった。

もちろん、夏輝も気にしてはいない。

夏輝は立ち上がって君の方へいった。

そのすきに、夏輝の座っていたイスに理子は座った。


「あっ!」


夏輝はそれに気がついて振り返った。


「えへへ~」


理子は笑いながらピースした。



とことんお似合いだな、と私は思った。



そのとき、夏輝のもっていた傘が倒れた。


カツンっと大きな音を立てていたので、理子と夏輝は動作をとめた。