「すみません、行きます」


俺はお兄さんに一礼して、歩いてきた道を走った。

邪魔な意味もないメガネを外した。



俺の周りを切る風たちに逆らって、俺は走った。





「ハァ・・・・・・」


綾原家に着く。

玄関でインターホンを押す。


息が切れてその場にかがみこみそうになった。


「はいー?」


中から明るい光梨さんの声が聞こえると、玄関のドアが開いた。