鏡の向こうには、有紀がいた。
「あー、やだやだ。舞らしくない!いつもの舞の笑顔はどこ行ったの?」
そう言って、私のほっぺたをつかみ、上へ引っ張った。
「ちょお、ゅきぃ…はなひて…」
そう言うと有紀は素直に離した。
「舞がそんな顔でいると、私が困るの。ツッコミ役が暗い顔してたら、ボケてもつまんないでしょ?」
ちょっ!ツッコミ役って私のこと?
私、ツッコミいれてるつもり、ないんだけどな。
「ツッコミって漫才じゃないんだから」
「えー!私らいつも漫才みたいなもんじゃん。私がボケたら、舞が突っ込む、これ定番でしょ?」
「定番って、なによそれ?
」
思わず、クスクス笑ってしまう。
「今みたいな笑顔」
「えっ?」
「今みたいな笑顔しか舞には似合わない」
…………
そう。
これだから、有紀とはずっと心友でいたいと思う。
有紀はいつもいろんな問題起こして、私もそれに巻き込まれて、私…ほとんど悪くないのに一緒に怒られて、
グズで、ドジで、さみしがりやで、怠け者で(これ以上言うと有紀、怒るかな?)
でも、いつも私を励ましてくれる。
有紀は絶対、私が落ち込んでてもその原因を自分からは聞かない。
代わりに、知らない間に私の暗い顔を笑顔に変えてくれる。



