それから、何度も「悩みがあるなら聞くけど」と声をかけたが、奈保の返事はいつも同じだった。 「大丈夫、大丈夫」 ちっとも大丈夫じゃない顔で返事をするから なおさら心配だった。 でも、奈保は俺に悩みを打ち明けようとはしなかった。 ―――― ―― 季節が夏から秋に変わったとき、 奈保が久しぶりに部活に顔を出した。 その時はもう前のような笑顔も戻ってクマも消えて、3ヶ月前の奈保と変わったところはほとんど…なかった。