「行ってくるから、大人しく待ってろよ?冬姫」 「うんっ」 ポンと頭に置かれた手が離れて、久世は奥のほうに行ってしまった。 後に残った女の人は、下唇を噛んでウチを睨んだ。 「あなた、京夜さんに好かれてるなんて思わない事ね。あの方は、美香さんを想ってるんですもの」 美香、さん……? 久世は、想っとる人がおるんや…。 何でやろう……。 悲しくなるんは、胸が締め付けられるんは……ウチは、久世が好きなんやろうか? 「あなたは所詮、美香さんの代わり」 「そんな事ない」 「何ですって?」