女の人は眉を顰めてウチを睨んで、久世に笑顔を向けた。
久世って京夜って名前なんや……。
ウチは知らんコトを、あの人は知っとんや……。
胸の中がモヤモヤする。
「来てくださったのぉ?久世医院の為に開いたのですよぉ」
ねっとりとした喋り方をする女の人は、久世をベタベタと触る。
そして、ウチにニヤリと笑みを向けた。
まるで、ウチなんて久世に相手にされてないって言うみたいに。
確かに、ウチは久世のコトなんも知らん。
久世の家が病院ってコトも、久世の名前も知らんかった。
「開いていただき、ありがとうございます」



