すっかり足捻ったんを忘れとっただけやった。 「湿布だけしとくな」 「はーい」 「お前……敬語使う気ねぇのかよ」 「お前ちゃうくて、冬姫」 「はいはい」 「何やの、その返事。お母さんに『はい』は一回って習わんかったん?」 「生徒がいっちょまえに説教すんな」 久世センセの綺麗な細くて長い指が、ウチのおでこをピンと弾く。 思ったよりも痛くて、片手でおでこを抑えて睨む。 「久世センセ、痛いやんかー」 「悪かったな。それくらいで涙目になってんじゃねぇよ」 「痛いもんは痛いんやって!!」