ギギーー
錆びて重たくなった扉を開けると
目の前にのんきな顔して
タバコをふかしてる矢沢がいた……
「ビンゴ…」
「おぅっ!お前もサボりに
来たのかよ」
火を消しこっちに向かってくる矢沢
「違うわよ‥あなたを探しに来たの…」
矢沢が隣に座って来たので私も腰を掛けた。
ブーンブーンブーンブーンブーン
あっ…サイレントモードにするの忘れてた…
ブーンブーンブーン
「えっ…ちょっと!!!」
「でねぇの?耳障りなんだけど」
いきなり私のスカートの
ポケットからケータイを抜き出して
差し出しながら悪態をついてくる
「出るけど……もしもし…」
『あ-オレ今まずかった…?』
電話は彼氏からだった…
「大丈夫だけど…どうしたの?」
矢沢が隣でまたタバコに火をつける
『今日空いてたらカラオケ行かない?』
「いいよ!学校昼までだし
1時以降なら大丈夫。」
彼氏からの誘いに
自然と顔が笑顔になる
『じゃぁいつものカラオケに2時な!』
「わかった!じゃぁねバイバイ」
「彼氏いたんだ…」
またタバコの火を消す
まだ長いのに…
「いるよ。矢沢は-?」
あんまり興味はないけど聞いてみる
「体だけの関係の女なら
いっぱいいるけど」
最低だ…
怒りを通り越して呆れてしまう…
「ふ-ん。体育館行こ…」
「…いやっ」
腕をつかまれ
今矢沢の胸のなかにいる私…
「ゆずなも俺とそーいう関係に
なっちゃう?」
耳元でわざと息をかけながら
話しかけてくる
しっかり矢沢の目を見て
一言
「ない」
矢沢の体を突き放して屋上を後にする
ありえない…
矢沢もありえないけど
矢沢に抱かれて
甘い言葉をかけられて
喜んでる女も女だ…
あっ…
矢沢連れてくるの忘れてた…
まぁ、あんなやつどうでもいい。
