えっと、整理しますと…
「まこちゃんってご存知だったんですねぇ。矢吹先輩。」
「はぁ?」
「朝、駐車場…」
ディスクに座った先輩にそれだけ口にすると、先輩はいつものクールフェイスで…
「見てたのか。」
「はい、思いっきし。」
「先輩、なんか俺に言うことないすか。」
「誰にも言うな。」
「いやいや、そうじゃなくて…」
ひどいよ、この人…ドSだよ。
後輩の哀れな恋を影で楽しんでたよ。
「言っとくが、真子はお前の気持ち知らないからな。」
「え?」
「俺はお前のその恋愛を無駄にはさせたくない。だから、真子は何も知らない。」
「先輩…。」
「仮に俺がお前の気持ちを話していたにしても、相手の気持ちを知ってて優しくするようなそんな最低な女じゃない、真子は。」
先輩…俺のことを考えて…
一目惚れして恋してた女の子が、まさか先輩の恋人だったなんて…。
なんて悲しい結末。
そりゃ、諦めるしかないよ。
だって、矢吹先輩には叶わねーもん。
男としても、人としても、刑事としても。



