「コホン…か、彼はまだなのか?」
調子を整えるようにして、咳払いしたお父さんは私に聞いてくる。
たしかにもう約束した時間より30分も過ぎていた。
「お仕事で遅れてるんだよ…」
「遅刻しとおいて、連絡くらいできるだろう?」
「忙しいんだよ…だからなかなか…」
「連絡一本もできないとは、非常識なんじゃないのか?まったく。」
さっきから聞いてたらお父さん、なんかひどいよ。
私は我慢できなくて、イスから立ち上がった。
「お父さん!凉さんは刑事さんなの!手が放せないことだってあるし、いつ事件がおこるかもわかんないんだから!」
「ま、真子…。」
「分かったから落ち着けよ。」
お母さんとお兄ちゃんが私をなだめてる間、私が怒ったのにびっくりしたのか、お父さんは黙ってしまった。
力を抜くようにイスに座り込んだ時…
~♪~♪~♪~
凉さんから、着信だった。



