「快斗くんっ!」
「快斗ッ!」
イスに座って、オレンジジュースをストローで吸っている快斗くんの姿を見て、思わず叫んでた。
キョトンとした快斗くんを抱き締めた。
無事で良かったぁ。
何かあったら、どうしようかと思ったよぉ。
「ひとみちゃん?」
「快斗くん、会えて良かったぁ。。」
その間、お兄ちゃんがスタッフの人にお礼を言って話を聞き、私達のところへやってきた。
しゃがんでいた私は立ち上がる。
お兄ちゃんは屈んで、快斗くんの顔を覗き込んだ。
「快斗、勝手にいなくなるなよ。」
「ごめんなさい…」
ちゃんとごめんなさいが出来た快斗くん。
お兄ちゃんは小さく息を吐くと、快斗くんの頭を撫でた。
「心配したんだからな。」
「ごめんなさい。。」
笑わないお兄ちゃんを見て、怒ってると思ったのか…快斗くんは泣きそうな表情。
「怒ってない。でも、すごい心配した。」
「うん。」
「ちゃんと、ごめんなさいが出来た。
いい子だぞ、快斗。」
そう言って、ふわっと優しく笑うお兄ちゃんに快斗くんは安心したようにニヒヒって笑った。
それから、3人で迷子センターを出て園内をゆっくりと歩いた。
「お土産コーナーの所にいたって?
何してたんだ?なんか欲しいもんでもあったのか?」
「ん…」
お兄ちゃんがそう尋ねると、快斗くんはしょぼんとして頷いた。
「あ、そうだ。瞳、孝幸になんかお土産買って帰ってあげよっか。」
それを聞いたお兄ちゃんが不意に私へ提案してきた。
何となく意図が分かった私は頷く。
そして、3人でお土産コーナーへ。
「母ちゃんにこれ、プレゼントしてあげたかったんだぁ。でも、お金足りなかった。」
快斗くんが悲しそうに指差したのは、
大きなカンガルーなぬいぐるみ。
確かにちょっと、快斗くんのお小遣いでは足りない金額。
「よし。足りない分は俺が出してやるから、
香苗さんにプレゼントしてやれよ。」
「いいの?」
「特別。あ、お金は出世払いな!」
意味が分かってないのか、楽しそうに『シュッセバライ』って連呼してる快斗くんはぬいぐるみを抱えて、レジへと走っていった。
やっぱり、お母さんのことちゃんと想ってるんだよね。



