午後からバイト。


今日は雨の日だから、コーヒーにちょっとおまけのお菓子がついてくるんだ。


きょうのおまけは、アーモンドのクッキー。
店長が私と瑠美さんに特別に分けてくれた。


お客さんがすいてきたのを見計らって、私と瑠美さんは休憩に入る。

って言ってもカウンターの脇なんだけどね。



「へぇ~、お兄さんそんなに甘えん坊なの?」




瑠美さんとはなんやかんやあったけど、今ではすっかり仲良しで本当にいいお姉さん。



「再会した時はもっとミステリアスな感じだったんですけどね。」



お兄ちゃんと私の再会秘話も前に話したから、
瑠美さんとはよくお兄ちゃんの話をするんだ。



「そーなんだ。でも、お店に来られた時の感じからは想像つかないよ。」



「ですよね。」


って、私は苦笑い。
だってお兄ちゃんときたらお店に来ると…



「瞳~、寂しかったぁ。
俺ずっとここに居たい。」



なんて言うんだもん。
溺愛されてるのは嬉しいけど、人前じゃちょっと恥ずかしいよ。



「もう、ほぼバカップルだもんね。」



なんて瑠美さんは楽しそうに笑ってるし。

すると、そこへ…



「なになに?
バカップルって、俺と瑠美ちゃんのこと?
いやぁ、照れるなぁ~。やっぱりそう見えちゃってるのかぁ。」



なんて、デレデレしながら話に入ってきたのは瑠美さんにぞっこんラブの店長。


この2人も色々あったけど、今では本当にバカップルにしかみえないくらいラブラブなんだ。



「店長、瞳ちゃんとお兄さんのことです。」


「え?あ~、あの美人な!」


店長はうちのお兄ちゃんを超絶美人と褒め称えてる。ま、女バージョンはもっと美人なんだけどねー。



「私、お兄ちゃんに甘いのかなぁ。」


「んー、確かに恋人?ってくらい
甘々だもんね。」


なんて店長に言われて、恥ずかしくて照れてしまう。


「でも、お兄さん恋人はいないんでしょ?」


「はい。…たぶん。」


「恋人とかできたら、ちょっとは治まるんじゃないかなぁ。」


「そーなんでしょうか。」


「んー。」


瑠美さんはアーモンドクッキーをかじって何かを想像するように腕を組む。



「あのお兄さんから妹離れした姿が想像できない…」


「あ、ははは…」


苦笑いしかできないよ、私。


そんな会話をしながら、休憩を終えてまた仕事に戻った。


お兄ちゃんに恋人かぁ…


好きな人とかいないのかなぁ。
私もお兄ちゃんが幸せになってくれるのが一番の願いなんだよね。


今夜、聞いてみようかな?