「す、すいません」

 田脳は後退りしながら藤美教諭に頭を下げた。

「あれ、高基先生どうしたんですか?」

 藤美教諭は田脳など眼中になく、高基教諭を笑顔で見た。

「あのですね。ちょっと、クラシックに興味がありまして……」

 高基教諭は藤美教諭に見つめられたので嘘をついた。

「そうなんですか! 私はモーツアルトが好きで……」