六年一組、本紛失事件

「落ちこんでいるよ」

 高基教諭は嘘を言ってみた。

「ええっ!」

 田脳はひとみが嫌悪をしたのがショックで肩を落とした。

「反省はしているようだな」

「……はい……もう、しません」

「それじゃ、教頭に報告するかな」

「そ、それはやめてください」

 田脳は急に背筋を伸ばした。よほど教頭が怖いのだろう。

「何でだ?」

「お、怒られるのが怖いし、そ、それにこの学校をやめなくてはならなくなってしまうのはちょっと厳しいです」