六年一組、本紛失事件

「そうだよ、有名になったら学校こなくなると思う」

 教室が慌しくなった。席に着く者が走っているのと、椅子に座ろうと、引きずっている音が混じってである。

 高基教諭が現れたから、生徒たちは席に着いたのだ。

「おう、感心だな。中学受験を受ける者もいると思うので、時間にはきっちりしておくのがいいな」

 高基教諭が言い終えると、一通りのあいさつを済ませた。

「先生!」

 大きな声を上げたのはひとみであった。

「何だ?」

「ひとつ、提案があります」

「言ってみろ」