六年一組、本紛失事件

「私は最後まで反対したんだよ」

 アリスの目は真っ赤だった。

「反対したけど、結局、転校することにはかわりがないだろう」

 それでも責めるような理々だった。

「そうだよ」

「ホラ! やっぱりな」

「理々君そんなこと言うもんじゃないわ! アリスだってすごく悩んだと思うよ。タレントとして活躍するためにイメージが悪いからって転校するのはつらいのはアリスだよ」

 華子であった。

「みんなと別れるのは、本当につらいよ。できることならこの学校で卒業したかったし……」

 アリスの瞳から涙が流れた。