「聞かないと安心できません」

 ストレートに言って、ショックな生徒もいるはずだ。ひとみはこれくらいのことでショックは受けないだろう。田脳のことも簡単に乗り越えたくらいだからだ。

「そうか、それじゃ、話すけど、心を構えて聞いてくれ」

 高基教諭は生徒たちを見た。少しでも異変があれば、話すのを中止しようと思ったのである。

「藤美先生は何者かに殺害された。じきに犯人は捕まると思う」

「誰が犯人ですか?」

 須葉瑠は口が軽そうなので、嘘でも誰かの名を挙げれば話してしまいそうであった。

「まだ、わからない」

 高基教諭は生徒たちに今は話したくなかった。