「先生!」

 理々が何かあるようだ。

「どうした理々?」

「そんな曖昧な理由ではこの犯人は違うと思います」

「理々は犯人を知っているのか?」

「正直なところわかりません。ただ、安易に音楽室に最後にきただけで、犯人にするには、証拠不十分です」

「そうだな」

 高基教諭も少し、納得したのか何度もうなずいた。

「誰もいないこの教室に忍びこめるやつが……」

 理々の会話中に教室のドアが開いた。それはやけにゆっくりである。生徒たちはおろか高基教諭までもが一斉に注目した。