六年一組の教室は一人を除き席に座っていた。

 一人とはアリスである。

 今日の高基教諭は機嫌をうかがわなくてはいけない状態だ。いつも以上にピリピリしいて、誰も手のつけられないのだ。それでも何もない振りして出席簿を読み上げた。

「また、美田は遅刻か!」

 今、ここにアリスが現れれば、出席簿を投げつけられるだろう。

「先生!」

 勇気を振り絞って、手を上げたのは子吉沢だった。

「何だまた、美田のことをかばうのか?」

「そうしたいところですが、今日は違います」