波教頭は藤美教諭の肩に両手を巻きつけていた。さながら恋人同士にも見える光景であった。

 波教頭と藤美教諭の親密な距離感で、今にもキスでもしそうな雰囲気だった。

 田脳の目の前で起こっていることはテレビなどの非現実ではなく、現実に間違いはなかった。

 興奮してきたので、さらに息は荒くなってきた。

「何だね!」

 田脳の存在に気づいた波教頭は怒りをあらわにした。

 殺気を感じた。

 絞め殺されるのではないかと思って、体が硬直した。