「やあ、元気?」

 子吉沢は普通にあいさつをした。

「まあ、病気ではないので、元気です」

 友香は真顔で言った。

「理々君の本、知らない?」

「知らない」

「何か、変わったことは?」

「知らない」

「じゃ、気づいたことは?」

「知らない」

「知らない、知らないって他に言うことはないの?」

「知らない」

 と、ドアは閉められた。