「お前、岸本に告れ!」

「ええ? 嫌です」

「何言ってんだ! お前にはお似合いだぞ!」

「そ、そんな、あんな暗い子、大嫌いです!」

「お前に断る権利などない!」

「そんな……」

 笈滝は今にも泣きそうである。

「泣くなよ!」

 馬屋は笈滝の足元を蹴った。

 まったく動こうとしない笈滝を見て、子吉沢がチャイムを押した。

 ギッーとドアがゆっくりと開いた。

 友香はドアの隙間からひょっこりと顔を出した。