「好きな食べ物って何だね?」

 波教頭は続けて質問をしてきた。

「何でも大丈夫です」

「フランス料理はどうだね?」

「ええ、大丈夫です」

「そうか」

 波教頭は何度もうなずいた。

「教頭先生はクラシックって聴きます?」

 と、藤美教諭は波教頭から離れた。

「まあ、何でも聴くな」

「そうですか……」

 と、藤美教諭は言って、準備室を出た。波教頭も追うように準備室を出て行った。

 藤美教諭はピアノを弾いていた。