「盗まないよ。だって、理々君のでしょ! 難しいそうで、僕はとても読む気はないし、それに理々君、本を貸したがらないから、自分でこっそり持って帰ったんじゃないの?」

「それはない。理々から直接聞いた!」

 高蔵は事実と違うことを言った。

 知っている三人も黙っていた。

「すごいな、高蔵さん、そこまで調べているなんて。警察顔負けだね」

「そうだろう。名探偵としては、この難事件を解決するから」

「がんばって! 名探偵」

 高蔵は探偵気取りでご満悦である。でも、本はまだ見つかっていなし、手がかりさえないのだ。