「はい。何度も」

「そうか。あんまり考えたくはないが、盗まれたんだな」

「そう、思います」

「それじゃ、いつ盗まれたんだ?」

「一時間目の授業が始まるまではあったんで、音楽室に移動して、帰ってきたらなかったんです」

「そうか。そうなると、音楽室に行っている間に教室はもぬけの殻だから……」

「先生、どうしよう」

「大丈夫だ」

「でも、理々君の本です」

「だから、大丈夫だって」

「ても、でも……」