きっと… ほんの何秒かの出来事 けど確かに触れた唇 「………」 唇が離れても、私の思考回路は止まったまま 「…里緒菜ちゃん」 先輩に名前を呼ばれて、ようやく回り始めた 「…今…キス」 キスの意味を知りたくて、先輩を見たら、恥ずかしそうに顔を反らしながら、先輩が口を開いた。 「…俺…、何やってんだろ…わりぃ…忘れて…。じゃまた…親睦会でな」 呆然とする私を残して、先輩はタマと一緒に公園を出て行ってしまった。 …忘れて… それは、期待していた言葉でもなく、喜べるような言葉でもなかった。