いつの間にかたどり着いた家の前で、見慣れた門を前に立ち往生してしまう。
うぅ…、何やってんだろ私
いつもなら躊躇うことなく悠登の家に入るのに、なかなか一歩が踏み出せない。
「里緒菜ちゃん？」
「隆司くん」
悠登の家から隆司くんが出て来て、余計に入りづらくなってしまった。
「ペットショップ行って来たの？」
「え？うん…、何で知ってるの？」
「田中から悠登に連絡あったみたいだから」
「…悠登、元気だった？」
隆司くんはそれには答えずに、悠登の部屋を見上げながら言った。
「今は…行かない方がいいと思う。あいつ悩んでるだろうから」
「悩んでる？」
「…でも大丈夫だよ、親睦会にはきっと行くから」
隆司くんは自信たっぷりにそう言うと、坂道を降りていった。
