恋の種


―――――



放課後を告げるチャイムと同時に直哉くんがすごい勢いでとんできた。


「里緒菜ちゃんっ」

「な、何?」

「月曜日、親睦会なんだって?どこ行くの?」


「臨海公園だけど、何で?」



「もしさ、もし悠登が行かないんなら、俺が…」


「俺が行くとか言うなよ」


「何だよ隆司、里緒菜ちゃん一人じゃ寂しいだろ」



「悠登は行くよ、絶対」



きっぱり言い切る隆司くんに直哉くんは負けじと反論する


「何でそう言い切れんだよ、大体何で俺に学級委員やらせてくんなかったんだよ」


「ちょっとストーップ、親睦会は代理とか認められてないから、まず無理だし、私一人でも大丈夫だから」


ほんとはちょっと不安だけど、悠登に行く気がないなら無理に連れてくことなんて出来ない



「里緒菜ちゃん、そんな顔しなくても大丈夫。悠登は俺が説得するから」


「説得って…」



隆司くんは全てお見通しって顔で



「俺に任せて」



私にだけ聞こえるようにそう言った。