恋の種



「あの…どこに行くんですか?」



「ん?内緒〜」


先輩はいたずらを考えた子供みたいに笑って、校舎の裏に入っていく。



たどり着いたのは、古い倉庫がある場所

人気もなく、ひっそりとした雰囲気


うぅ…お化けとか出てきそう


先輩は倉庫の扉に手をかけた。



「先輩?入るんですか?」

「いいからいいから」


はぐれないように先輩のあとに続く


「先輩…私…暗いとこ苦手で…」



暗闇に目が慣れるまえに、私の足に何かが触った。




ぞわ〜っ…



「ひゃぁーっ」


「里緒菜ちゃんっ、大丈夫?」


「さ、さ、さっき、足に何かが…」


「何かってこいつ?」


…こいつ?


先輩の腕の中にいたのは、くりくりお目目の小犬…



「犬っ??」