―ミーン

―ミーン

かんかん照りの太陽


家まであと少し…


目の前に広がる坂道。



高校受験真っ只中

中三の夏



「あっつぅ…」




坂道の上にマイホームを建てた親を恨みながら、坂道を踏み出した。



坂を登りきったところで、家の前に座り込む人影が見えた。

近づくに連れてはっきり浮かぶ影の形…


…げっ

あ、あれは…もしかしなくても…

先週別れたばかりの元カレ…



…何でいんのよ



「小泉」 と書かれた表札の下にしゃがんで携帯をパチクリ してる。




―ブーブー



自分の携帯の振動に自分でびっくりして、慌てて木の陰に隠れた。



―――――――
【from】吉田
【sub】待ってる
《どこにいんの?》
――――――――


どこにいるって…


ここだよっ



…うぅどうしよう



―ブーブー


手の中の携帯がまた震える。

―――――――
【from】吉田
【sub】会いたい
《俺、里緒菜じゃなきゃだめなんだ》
――――――――


少し前の私だったら、手放しで喜んだであろうセリフ



私は覚悟を決めた。